2020最新トレンド「AIホムンクルス」
AI技術の最新トレンド「AIホムンクルス」とは
AIのトレンドは日々進化しており、さまざまな企業が情報を発信しています。中でも注目したいキーワードが「AIホムンクルス」です。AIホムンクルスは、「Beyond Perception~2020年のAI7大トレンド~」というレポートの中で韓国電子通信研究院(ETRI)が指摘したキーワードのひとつです。このレポートの中では、AIやAIを取り巻く環境について政治・経済・技術の3方面についてのトレンドがまとめられています。
ホムンクルスという言葉は、ラテン語で「小さな人」という意味です。脳が身体の感覚を感じるのに割り当てる区分として、医学用語として用いられている言葉でもあります。人間の脳と身体は密接に関係しており、相互に刺激を与え合うことによって機能を発達させることができます。脳か身体のどちらかに問題があると、自律神経が乱れてしまったり、思うように考えたり動いたりできなくなります。
これと同じ考え方でAIについて考えると、今後AIの分野に何が必要なのかが見えてきます。人間と同じような思考力をAIに持たせるためには、AIにとっての身体となるハードウェアの進化が今後ますます求められることになります。自動車やロボット、ドローンなど、AIと相互に研究・開発を進めるべき分野はいくつもあります。ここで必要となるのがAIホムンクルスです。人間でいうところの身体にあたる各種ハードウェアから、脳にあたるAIへと伝達された情報が適切に処理されるためには、「小さな人」であるAIホムンクルスの存在が必要なのです。
政治面と経済面のトレンド予測
他のトレンド予測には、「拡張分析」や「創作知能」というキーワードも浮上しています。拡張分析については、ダークデータ分析に関する技術が登場するという予測が含まれています。この予測どおりになるとすれば、AIがこれまでにない価値を提供できる存在へと発展することになるでしょう。創作知能は、映画や小説、アートなど、人間のような感性を持ったAIのことです。今後は、AIが人間と同じかそれ以上の創作物を作りだすと分析されています。
政治面のトレンドとしては、「AI中国」や「AIナショナリズム」というキーワードが示されています。AIの最新技術を発信しつつ世界をけん引してきたアメリカに対し、独自のあり方を急速に構築している中国の存在感も高まっています。この流れから、他国の影響を極力少なくしようというナショナリズムが登場するとの予測が、AIナショナリズムというワードに込められています。今後は、覇権争いや保護主義が広がり、AIは新たなステージへと進んでいくと考えられます。