従来のAIとは一線を画すジェネレーティブAIとは？
ジェネレーティブAIとは
近年ジェネレーティブAI（生成AI）の飛躍的な発展により、私達の生活や仕事のあり方が劇的に変わりつつあるのをご存知でしょうか？
ジェネレーティブAIとは、画像やテキスト、音声といった学習済みデータをもとに、新たなコンテンツを生み出すAI技術です。これまでのAIは膨大なデータをもとに特徴を学び、予測してデータを生成するというものでした。一方ジェネレーティブAIは、膨大なデータを学習させることなく、条件を与えるだけでクリエイティブなコンテンツを生成できます。人間と同じようなアウトプットが可能であることから、これまで人間にしかできないといわれていた分野をAIが補える可能性が出てきました。あらゆる分野で人手不足が懸念される今、生産性の向上につながるジェネレーティブAIは非常に注目を集めています。
ジェネレーティブAIの種類と具体的なサービス
ジェネレーティブAIにはいくつかの種類があります。ここではその種類と、それを活用している具体的なサービスを紹介していきます。
・テキスト生成AI
テキスト生成AIは、ユーザーがテキストボックスにプロンプト（質問）を入力すると、AIが自動的に回答を生成するシステムです。近年世界中で注目を集めている「ChatGPT」を例に挙げるとわかりやすいでしょう。ChatGPTに質問すると、まるで人間が答えているかのような詳細な回答が返ってきます。質問への回答だけでなく、改善点の提案や概要文の作成、自然な翻訳、プログラミングのコード生成なども可能です。無限の可能性を秘めたChatGPTは、さまざまなシーンで活用されています。
・画像生成AI
画像生成AIは、ユーザーがテキストボックスにプロンプトを入力すると、AIが自動的にオリジナル画像を生成するシステムです。詳細なプロンプトを入力すれば、イメージに近い画像が数秒から数十秒程度で生成されます。これまでは欲しい画像がある場合は自分で作成したり素材サイトで探したりする必要がありましたが、画像生成AIを使えば欲しい画像を自らの手で作成できます。気に入らなければ何度でも生成し直すことが可能です。有名なサービスに「Midjourney」や「Stable Diffusion」がありますが、2023年9月にはついにクリエイティブ系ソフトウェアの大手Adobeが画像生成AI「Firefly」の正式提供を開始しました。PhotoshopやIllustratorにも「生成拡張」機能が搭載されるなど、画像生成AI技術はますます身近なものになってきています。
・音声生成AI
音声生成AIは、入力した音声データの特徴を学習し、新たな音声データを生成するシステムです。従来の合成音声ではどうしても機械特有の不自然さが発生していましたが、音声生成AIを用いると、かなり肉声に近いリアルな音声を生成できます。感情表現も可能なので、ナレーションや朗読などを音声生成AIに任せるサービスも登場してきているようです。近年は、テキストから音声を生成できる「Bark」や「Open JTalk」、「ESPnet」などが特に注目を集めているようです。
ジェネレーティブAIのデメリット
ジェネレーティブAIは便利な反面、多くの課題があります。
まず挙げられるのが、偽情報を生成してしまう点です。例えばChatGPTの回答は、必ずしも正しいとは限りません。一見もっともらしい文章なので間違った情報の正誤判断が難しく、フェイクコンテンツが世間に多数出回ってしまう可能性があります。
また、著作権の侵害も問題になっています。例えば画像生成AIサービスの中には、クリエイターの作品を許可なく取り込んでいるものも多数存在しています。しかし著作権侵害の線引は難しく、オリジナルを作成したクリエイターが泣き寝入りせざるを得ない状況になることも多いようです。そのため、一刻も早い法整備が求められています。
